ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)の試作を検討している方へ【ABSの特徴や試作・成形の代表的な用途を解説します】
ABSはアクリロニトリル(Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)の化学的な結合からなっており、これら3つの頭文字をとって「ABS(エービーエス)」と呼ばれています。
ABSは美しい外観を特徴とする熱可塑性の樹脂です。塗装や表面加工との相性も良好で強度もあるため、 デザイン性が重視されるさまざまな製品に使用されている便利な材料です。
本記事では、汎用プラスチックの一種であるABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)の基本情報について解説します。
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目次
ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)の略号と名称
- 略号:ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)
- 名称:アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン
- 呼称:ABS(エービーエス)と呼ばれる
- 外観:クリーム色
ABS(エービーエス)の概要
アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンには以下のような特徴があり、ABSはそれぞれの長所が組み合わさったプラスチック材料です。
- アクリロニトリル:機械的強度、耐熱性、耐油性
- ブタジエン:耐衝撃性、高弾性
- スチレン:光沢性、加工性、安定性
ABS(エービーエス)の特徴・長所
上述のように、ABSは3つの特性を活かした樹脂ですが、具体的には下記のような特徴があります。
①外観に優れる
表面は光沢があり審美性に優れている。艶を消してマットな質感を出すこともできる。 色みの癖がないアイボリーであるため、さまざまな色付けとも相性がよい。
②機械的特性
機械的特性はPPやPSと遜色なく、特に衝撃強さが勝っている。 強度・剛性・硬度・靭性のバランスがよく、壊れにくさ、変形しにくさ、硬さを併せ持っている。
③熱的特性
耐熱温度は70℃~100℃程度、脆化温度は-20℃程度。
④成形性・加工性に優れる
射出成形、押出成形、ブロー成形など、さまざまな樹脂成形が可能で、薄肉成形も比較的容易である。 切削加工や曲げ加工などの加工性もよい
⑤接着・印刷に向く
接着性がよく、さまざまな接着剤を使用できる。 また、印刷や塗装、メッキにも適している。
⑥絶縁性
絶縁性があり、誘電性も極めて低い。
ABS(エービーエス)の短所
短所としては、以下の2点が挙げられます。
①耐薬品性
耐薬品性は低い傾向にある。酸、アルカリ、塩類には耐性があるが、有機溶剤には溶けてしまう。 また、アルコールや炭化水素に対しても注意が必要で、溶解はしないが、長時間浸していると吸収して膨潤してしまう。
②耐候性
耐候性も高くはなく、直射日光に長時間晒すと紫外線でブタジエン成分が酸化して変色や光沢劣化が生じるため、 屋外用途には向いていない。
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ABSの種類
ABSは、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの結合で成り立っていますが、 この3つのうちのいずれかを別の成分に置き換えたり添加物を加えたりすることで、特性を改質させたものがあります。 ここでは、そうしたさまざまなABSの派生物を見ていきましょう。
①強化ABS樹脂
ABSに繊維素材を入れることで剛性を高めたもの。 添加する繊維としてはガラス繊維が多い。
②ASA樹脂
ブタジエンに代えてアクリルゴムを重合させる。 ABSに比べて耐候性が向上しており、他方、耐衝撃性も保っている。
③AES樹脂
ブタジエンの代わりにエチレン系ゴムであるEPDMを重合させた樹脂。 ASAに相当する耐候性がある。
ABSの代表的な用途
加工性のよさ、美しい外観、バランスのよい機械的特性からABSはさまざまな製品に使われていますが、 何といってもその外観を活かして外殻部分へ用いられることが主となる材料です。ABSの代表的な用途を挙げていきましょう。
- 家電:テレビ、冷蔵庫、ノートパソコン、洗濯機、リモコン
- 日用品:食器、プラモデル、リコーダー、キャリーケース
- 自動車:ハンドル、カーナビ、フロントグリル
まとめ
ABSは、審美性が高く、機械的特性や価格面、成形性に関してもリーズナブルなプラスチック材料です。 製品の外殻など外目に触れる部分には特に向いています。 デザイン性が求められる製品を作るときは、ぜひABSをご検討してみてはいかがでしょうか
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