PP(ポリプロピレン)の試作を検討している方へ【PPの特徴や試作・成形の代表的な用途を解説します】
PP(ポリプロピレン)はプロピレンによる重合体で、熱可塑性の樹脂です。 加工性がよく、安価であることから、幅広い用途に用いることができる便利な素材で、繊維、買い物袋、医療、建築素材など日常生活のさまざまな分野に使われています。
さまざまな成形法に対応できる素材であり、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形に適しています。 こうしたことから、PE(ポリエチレン)と並びもっとも多く生産されているプラスチック原材料です。
汎用プラスチックの一種であるPP(ポリプロピレン)の基本情報について解説します。
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目次
PP(ポリプロピレン)の略号と名称
- 略号:PP(Polypropylene)
- 名称:ポリプロピレン
- 呼称:ポリプロピレン、PP(ピーピー)と呼ばれる
- 外観:乳白色
PP(ポリプロピレン)の特徴・長所
PPの特徴として以下のものがあります。
①比重が低い
比重0.9でプラスチックとしてはもっとも低く、水にも浮きます。
②機械強度に優れる
引張強度、圧縮強度、衝撃強度に優れます。 また、表面硬度も高く耐摩耗性もあり、表面に傷がつきにくいという特徴があります。
③加工性がよい
射出成形、押出成形、真空成形、圧空成形、ブロー成型など金型を使用したさまざまな成形方法を行うことができます。
④安価に大量生産しやすい
金型を使用した加工に適し、安価な大量生産が可能です。材料自体も比較的安価です。
⑤耐薬品性
酸やアルカリなどに対する耐性が高いです。
⑥絶縁性が高い
誘電率が低く、静電気を蓄えません。
⑦ヒンジ特性を持つ
屈曲させても破壊されない性質があるのでヒンジの役目をする材料として適しています。
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PP(ポリプロピレン)の短所
短所としては、以下の2点が挙げられます。
①耐候性が劣る
直射日光など紫外線による劣化が早く、白く変色します。
②接着、印刷に不向き
表面自由エネルギーが低いため接着加工に難があります。 専用の接着剤を用いたり、表面を改質したり、粗を作ったりするなど、表面処理をするといった対策がありますが、金属を接着するほどの強度を実現するのは難しい素材です。
また、同じ理由で印刷加工に適しません。 コロナ処理という表面処理を行えば、インクの密着性を高めて印刷を可能にすることができます。
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PP(ポリプロピレン)の代表的な用途
食品容器 | 耐熱性があり、電子レンジでの使用にも耐えることができます。摩耗性も高いためタッパーなどの食品容器に用いられます。 |
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理化学用容器 | 酸やアルカリ、鉱物油など多くの薬品に耐性があることから、理化学用の容器に用いられます。注射器などが代表的な用途です。 |
包装フィルム | 無色のフィルム加工ができるため、包装用のフィルムなどに使われます。 |
日用品・哺乳器具 | 軽くて、摩耗に強いので、コップなどの日用品や哺乳器具の素材とされます。 |
自動車部品・家電部品 | 機械強度が高く、成形性もよいため、バンパーなどの自動車部品にも使用することができます。 |
PP(ポリプロピレン)の種類
PPはプロピレンの重合体ですが、共重合の形態により3種類に分類されます。
①ホモポリマー:プロピレンだけの単独重合体
プロピレンだけによる単独の重合体です。 特性として、剛性が高く、耐熱性、耐薬品性に優れ、光沢があります。 安価で成形しやすいという特徴もあります。 用途として、包装フィルムや食品トレー、バケツや洗濯ばさみといった日用品に使用されます。
②ランダムコポリマー:エチレンとの共重合体
エチレンを通常は4.5重量パーセント以下の割合で、共重合体中に含有するものです。 特徴として、ホモポリマーより結晶性が低く透明性が高いですが、ポリスチレンやアクリル樹脂などの非晶性ポリマーには劣ります。 また、靭性に優れ柔軟です。 透明ボトルやタバコの箱のオーバーラッピングなどに使用されます。
③ブロックコポリマー:異種成分が共有結合している異相共重合体
ブロックコポリマーは異種成分が共有結合でつながっている状態を指しますが、実際に工業生産されるもののほとんどは、本来の意味でのブロックコポリマーではなく、ホモポリマーのなかにゴム成分の粉が混ざっている状態のものです。 特徴として、ゴム成分が入っているため耐衝撃性が高くなります。 用途として、コンテナや自動車部品、家庭用雑貨、家電製品、冷凍食品用トレーなどに使用されます。
PPは加工性に優れ、安価に大量生産が可能な樹脂です。さまざまな特徴を持つため、幅広い用途で使用することができる非常に便利な素材となっています。
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